封じる技術で、開ける未来。
シーリングソリューションの次なる進化
2026年10月1日、NOKはイーグル工業と経営統合し、新たな一歩を踏み出しました。イーグル工業は1964年にNOKのメカニカルシール部門から独立する形で誕生。NOKとは異なるアプローチでシーリング、すなわち「封じる」技術を極めてきたモノづくりの会社です。
半世紀以上の実績を誇る、2つのシーリング技術
NOKの主力製品であるオイルシールと、イーグル工業が展開するメカニカルシール。いずれも回転する軸に取り付け、液体や気体が漏れ出るのを封じながら、塵や埃の侵入を防ぐ円筒状の部品です。それぞれに異なる特長や用途を持っています。
オイルシールは、その名の通り主に油を封じるシールです。ゴムの弾性を生かした仕組みで、回転軸の周囲をすっぽり包み込むようにして密封します。
その材料や圧力範囲はJIS(日本工業規格)などによって定められており、均一かつ高品質なシールを数万個や数十万個単位で生産して世界中に供給。自動車をはじめとするモビリティや産業機械などに広く使用されています。これはいわば、「標準を極める技術」です。
一方メカニカルシールは、流体全般に対応する金属製のシール部品です。回転軸に対して垂直に設けられた「端面(平らな面)」で流体を封じます。
製品の多くはお客様と膝を突き合わせながら一から設計しており、生産量は数個の少量品から数十万個の量産品まで、多様なニーズに対応しています。
ゴムでは対応しきれない超高圧や超高速回転、極低温や超高温、あるいは土砂などのスラリー(固形物の混ざった液体)といった過酷な条件を得意とし、モビリティや産業機械、エネルギープラントから船舶や深海探査艇、宇宙ロケットまで、陸・海・空の幅広い分野で活用されています。
超精密なモノづくりと、盤石のアフターサービスが大きな価値に
メカニカルシールは、平滑に仕上げた2つの端面を極限まで近づけ、そのごくわずかな隙間に封じる流体を入り込ませることで、流体膜で潤滑しながらシールします。隙間が狭いと摩擦量が増えて故障につながり、広いと流体の漏れ量が増えるジレンマ。それゆえ1ミクロン以下の単位で(1ミクロン=0.001ミリメートル)単位で狙い澄ましたコントロールが求められます。封じる流体の粘度や揮発性、腐食性などを考慮しながら材料を選び抜き、その隙間の幅やバネの強さなどを設計していきます。
端面には、ダイヤモンドに近い硬さの炭化ケイ素(SiC)などの高硬度素材が使われます。そのポイントは徹底的に平滑に加工することで、端面の内外径の高低差は最大1ミクロン以下を許容範囲としています。これは、仮に手のひらサイズのメカニカルシールを直径200メートルの円に換算した場合、その面の高低差がわずか1ミリメートル以下しかないという超高精度です。
さらに、納品して終わりではありません。イーグル工業では、アフターサービス体制により数年後、製品によっては数十年後まで伴走を続けます。メカニカルシールが取り付けられるのはエネルギープラントや産業機械など、社会を支える重要設備。それらが一日でも稼働停止してしまうことは社会的な損失に直結します。そのため、一度安定稼働が実証されたメカニカルシールは、仕様変更することなく修理や交換対応することが通例です。定期点検の際にはメカニカルシールを取り外し、工場に持ち帰って分解・洗浄、必要に応じて修理やパーツ交換を行って再度取り付けます。
高い技術でお客様のニーズに応え、アフターサービスで品質を保ち続ける。その信頼のループによって、イーグル工業は大きな顧客価値を生み出し続けています。
2つの「封じる」技術を掛け合わせ、未到のステージへ
ゴムや樹脂など有機材の知見を蓄え、オイルシールの開発・製造を通じて技術を磨いてきたNOK。そして、カーボン、セラミックス、金属などの無機材のメカニカルシールを手掛ける総合メーカーとして市場を牽引してきたイーグル工業。それぞれが高め続けてきた価値を掛け合わせ、世界で類を見ない「包括的なシーリングソリューション」を提供する体制が始動しました。
これまで蓄えた「封じる」技術を結集し、これまで以上に広く深く、社会の「安全」と「快適」に貢献する。私たちの新たな挑戦は今、始まりました。