見えないものを見るために
~分子レベルまで可視化する分析技術~

多角的な分析手法でゴムを可視化

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電子状態から応力・流速・変形までの幅広いスケールでの分析が必要である図。左から右に、オングストロームレベルでの電子状態の図、高分子鎖のナノレベルの構造、ゴムの構造、ミクロレベルの油膜、応力・流速・変形の詳細を示す図が並んでいます。最下部には「幅広いスケールでの分析が必要」と記載されています。

ナノレベルの解析で性能を評価

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エラストマーの構造解析図。左側にはカーボンブラックなしの状態、右側にはカーボンブラックありの状態を示す。右側の図にはカーボンブラック、補強層、ポリマーが色分けされて表示されている。カラースケールは、「High」から「Low」モジュールまでを示している。下部には、「カーボンブラックの周りに存在する補強層を観察可能」と記載されている。左上には「東京工業大学 中嶋教授」というテキストと解析機器の写真が表示されている。

さらにNOKでは、ナノスケールでの測定法を生かし、ゴムにカーボンブラックよりも高い補強効果が期待できるカーボンナノチューブ(CNT)を混ぜた「CNT添加Ovalリング」用のゴム材料を開発した。この「CNT添加Ovalリング」は、高圧往復運動の環境下でもシール性を維持しつつ、摩擦も低減できる機能を持つ。CNTはカーボンブラック以上にゴムと混ざりにくい一方、しっかり混ぜることができればカーボンブラックよりも高い補強効果が得られる。しかし、従来はこの混ざり具合や補強を生む層をナノスケールで確認する術がなかったが、AFMでの測定により、「CNT添加Ovalリング」のゴムは、CNTが均一に分散し、補強層がしっかりと形成していることが証明されたのだ。

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カーボンブラック添加ゴムとCNT(カーボンナノチューブ)添加ゴムの構造分析図。左側は「カーボンブラック添加ゴム」、右側は「CNT添加ゴム」の図。各図はModulusの強度を色分けで示しており、「High」から「Low」までのカラースケール(赤から青)で表示。200nmのスケールバーあり。下部には「CNTがゴム内部で均一に分散していることを確認」と記載されています。

環境規制対応に微量定量分析が必要

(写真左)

関口 慶

NOK株式会社 NOK R&D 技術研究部材料研究課 専門主事補

NOK入社後、材料技術部に配属。主に化学分析やOリング用ゴム材料の開発・改善業務を担当し、2021年に技術研究部に異動。2022年より分析研究グループのリーダーを務め、社内外からの分析相談対応や新規分析手法の構築に携わる。

(写真右)

安斎 貴寛

NOK株式会社 NOK R&D 技術研究部材料研究課

NOK入社後、分析業務や材料開発を担当。2017年よりオイルシールの材料開発に携わり、2019年から低摩擦をはじめとしたシール技術の研究業務に従事。2022年より東京工業大学の中嶋教授と共同でゴムの物性制御に関する研究業務に携わる。

記事内のデータ、所属・役職等は2023年8月現在です。

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