「ゴムは固体か液体か」「劣化とともにゴムは光る」、劣化メカニズム解明の最前線を知る

医療用MRIと同様の仕組みでゴムの分子構造を可視化

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架橋の有無による高分子の緩和時間と動きやすさの比較図。上部には赤の三角形と青のダイヤモンドで示された緩和時間(T2)とIntesityの関係を示すグラフがあり、時間経過に伴う強度の減少が描かれている。左下には「架橋なし」の高分子構造のイラストがあり、右下には「架橋あり」の高分子構造のイラストが描かれている。中央には以下の比較表が示されている:1.緩和時間(T2):架橋なし(Long) > 架橋あり(Short) 2.高分子の動きやすさ:架橋なし(High) > 架橋あり(Low) 3.架橋の密度:架橋なし(Low) < 架橋あり(High) これにより、架橋の有無による高分子材料の特性の違いが視覚的に説明されている。
図1 NMRによる測定結果から架橋点の様子を知る

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架橋EPDMゴムの緩和曲線を示すグラフ。縦軸はIntensity、横軸はTime(ms)を表す。実験データは青い菱形マーカーで示されている。それに対して、赤線で示される単一指数関数、紫線で示される指数関数2項和、青線で示される指数関数3項和のモデル曲線が描かれている。上部には緩和関数M(t)の式が示されており、A exp (-t/T2A) + B exp (-t/T2B) + C exp (-t/T2C)の形式で表現されている。この図は、異なるモデルが実験データにどれだけ適合するかを視覚的に比較するものです。
図2 従来の関数フィッティングによるゴムの内部構造解析

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高分子材料の緩和関数とその特性を示す図です。左側には、緩和関数M(t)が時間tに対してプロットされており、急速に減少する曲線が描かれています。この曲線にはL(T2)という成分が表示されており、図の上部には関連する数式「M(t) = ∫[0, ∞] L(T2) exp(-t/T2) dT2」が記載されています。右側にはL(T2)に対するプロットがあり、T2に対して強度が変化する様子を示す曲線が描かれ、高分子材料の異なる緩和特性を示しています。中央の青い矢印には「L(T2) = L^(-1)(M(t))」と書かれ、緩和関数M(t)からL(T2)への変換が示唆されています。図の右下には引用文献「S.W. Provencher, Macromolecular Chemistry and Physics. 180, 201 (1979)」が記載されています。
図3 逆ラプラス変換を用いたゴムの内部構造解析

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EPDMゴムの劣化に伴う緩和時間(T2)分布を示すグラフ。縦軸は緩和時間成分の強度L(T2)、横軸は緩和時間T2(ms)を示しています。異なる劣化時間(0時間、2時間、3時間、4時間、8時間、12時間、24時間)に基づくデータがカラーコードで分けられ、0時間は黒、2時間は青、3時間は赤、4時間は緑、8時間は茶、12時間は紫、24時間は橙で示されています。グラフには「T2A 架橋と絡み合い」と「T2B 分子鎖の端」というラベルがあり、それぞれの緩和時間成分のピーク位置が示されています。右側には劣化条件として「材料: 架橋EPDMゴム」、「温度: 150℃」、「周辺環境: 空気」、「伸長率: 0%」が記載されています。
図4 150℃に加熱したゴムの構造の変化

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高分子材料の劣化プロセスを示す図。図の左側には、架橋点(赤い円)で結ばれた高分子鎖(赤い線)が描かれています。中央の矢印には「分子の切断」と書かれ、その右側には高分子鎖が部分的に切断された状態のイラストがあります。さらに右の矢印には「再結合」と書かれ、その右側には切断された高分子鎖が再結合して新たな架橋点を形成した状態のイラストが描かれています。この図は高分子材料の劣化と再結合のプロセスを視覚的に示しています。
図5 ゴムは劣化の過程で分解されるが、一部は再結合する

劣化によりゴムが“光る”現象を応用、化学反応に焦点を当て解析

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ルミノールの化学発光反応経路を示す図です。縦軸はエネルギー準位、横軸は反応経路を表します。図の左下にはルミノールがあり、アルカリ溶液と触媒が加わることでエネルギーが上昇します。頂点にジアザキノン中間体の励起状態があり、そこからエネルギーが放出され、発光(hv)が示されています。最終的に、反応経路は右下の3-アミノフタル酸ジアニオンの基底状態に至ります。この図はルミノールの化学発光過程とそのエネルギー変化を視覚的に説明しています。
図6 化学発光の仕組み

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フォトルミネッセンス実験装置の図解。上部には「フォトマルチプライヤーチューブ」があり、電源およびコントローラーに接続されています。コントローラーはさらにPCに接続されています。フォトマルチプライヤーチューブの下にはシャッターが配置され、これにより露光を制御します。下部にはサンプルチャンバーが描かれており、レンズを通して観察されます。チャンバー内にはヒーターがあり、サンプルを加熱できます。サンプルチャンバーには左右からガス(O2/N2)が供給され、温度管理と環境制御が行われます。左側には冷却ファンのアイコンがあり、冷却プロセスが示されています。
図7 ケミルミネッセンスアナライザーで変形させた状態で劣化を観測

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ポリマーの酸化過程における発光強度の変化を示すグラフ。縦軸は発光強度(Intensity)、横軸は時間(Time)を表しています。グラフは誘導期間、反応開始、反応終了の各段階を示し、ポリマーの酸化速度が反応開始直後に急上昇し、最大値に達した後に減少する様子が描かれています。酸化速度のピーク位置には「ポリマーの酸化速度」というラベルが付けられています。グラフの下部には引用文献として「L. Zlatkevich, Luminescence Techniques in Solid State Polymer Research, New York: M. Dekker (1989)」が記載されています。
図8 ポリマーが酸化する速度の典型的な曲線

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ポリマーの劣化に伴う架橋構造の分解と酸化分解の経過を示すグラフ。縦軸は相対蛍光強度(F/F0)および発光強度(Intensity)、横軸は時間(Time, h)で対数スケールになっています。青い曲線は架橋構造の分解を示し、四角いプロットで示されたNMRデータが使用されています。赤い曲線は化学発光によるポリマーの酸化分解を示しています。両者は徐々に増加し、特定の時間でピークに達し、その後減少します。また、「応力緩和」のラベルが右端に記載され、劣化の最終段階を示しています。この図はポリマーの劣化過程における異なる分解メカニズムの時間経過を視覚的に説明しています。
図9 架橋構造とポリマーの分解による応力緩和への影響

化学発光の観測はゴムの劣化以外にも応用できる

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フレキシブルプリント基板(FPC)の断面構造図と主要素材の写真。左側の断面構造図は、上から順にポリイミド(カバー)、接着剤、銅箔(回路)、接着剤、ポリイミド(ベース)の各層で構成されています。図の中心部には「一層」というラベルが付けられ、各層の組み合わせが示されています。右側には、FPCの主要素材である銅箔とポリイミドフィルムの写真が表示されており、それぞれの素材の外観を視覚的に確認できます。
図10 FPCでは接着剤の耐熱性が求められる

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耐熱接着性の評価と化学発光分析による耐熱評価を示す2つのグラフ。左側のグラフは縦軸がピール強度(N/mm)、横軸が時間(hrs)で、現行材料と対策材料の耐熱接着性を比較。現行材料(青いライン)はピークから急激にピール強度が低下し600時間で0となり、その後も安定。対策材料(灰色のライン)はピーク後も緩やかに強度が下がり3000時間でわずかに残る。右側のグラフは縦軸が発光強度(Intensity)、横軸が時間(min)で、現行材料と対策材料の耐熱性能を比較。現行材料(青いライン)は20分でピークに達し、その後急激に減少。対策材料(灰色のライン)は30分にかけてゆるやかにピークに達し、その後減少。これにより、対策材料の方が長期間にわたって安定した耐熱性能を持つことが示されています。
図11 従来の耐熱接着性の評価と化学発光分析による耐熱性評価

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