微細なものづくり技術が社会の支えに――燃料電池開発への挑戦(後編)

(前編からのつづき)

要件を原理から読み解き、4年をかけて実装可能なスペックに調整

写真:島添稔大氏
製品設計に携わったNOK R&DのFC Solution量産開発部 島添稔大氏

画面を拡大してご覧下さい。

要件特性(密封性、絶縁性、寸法性、耐久性、耐薬品性)に関する定性および定量的な指標を示す表。密封性:定性は内部で水素と酸素を分離する、混ざると発電せず電池としての性能低下、定量的な指標は界面漏れ:0か所/1スタック=1km以上、透過漏れ:透過係数がある値以下。絶縁性:定性はプレートとプレートの間の絶縁性(システムで絶縁を実現する場合も)、定量的な指標は絶縁試験500V。寸法性:定性は密封性と密接に関連、成型時の位置決めの精度が重要、位置がずれると密封せず、定量的な指標はずれがμmレベル以下であること。耐久性:定性は長寿命であること、熱、水で劣化しないこと、定量的な指標はxxxx hrs。耐薬品性:定性はセル中で発生する酸などで劣化しないこと、定量的な指標はxxxx hrs。
図1 燃料電池用セルシールの主な要件特性

既成概念にとらわれず自由な発想で

画面を拡大してご覧下さい。

ガスケットの寸法指標に関する図。図はガスケットが圧縮されてシール機能を発揮する様子を示し、界面漏れと透過漏れが描かれています。上部には、つぶし率(ε)の計算式(ε = δ / h × 100)が示されています。さらに、以下の説明が含まれています:ガスケットは圧縮してシール機能が発現すること、圧縮の度合い(つぶし率)はガスケット高さに対する圧縮量として定義されること、ガス用シールでは界面漏れとともに透過漏れを考慮する必要があること、差圧の増加にともない透過量が多くなること、小さい分子ほど漏れやすい(H2は最も小さい分子)。
図2 ガス用シールは界面漏れと透過漏れとの闘い

画面を拡大してご覧下さい。

図3 ガスケットのガス透過性試験(透過漏れ)

「プレス成形で生じる応力を考慮していないじゃないか」

写真:眞坂武史氏
工程設計に携わったNOK R&DのFC Solution先行開発部 眞坂武史氏

プロトタイプによる検証で、想定していなかった不具合に遭遇

一覧へ戻る