人と組織の力を引き出すワークプレイス改革
ライフスタイルや価値観の多様化、リモートワークの定着などを背景に、職場環境(ワークプレイス)にも新しいあり方が求められています。NOKグループでは、CI(コーポレート・アイデンティティ)のもとに全社で統合されたブランドを体現するワークプレイスの構築を全社的に推進。一部のオフィスで先行して始まっており、若手社員が主体となって取り組んでいます。
効率的・創造的な働き方の実現を目指す
NOKの「ワークプレイスガイドライン」
NOKグループのワークプレイス改革は、独自に策定した「ワークプレイスガイドライン」をよりどころとしています。フロアを「Focus(集中する)」「Collaboration(協働する)」「Gathering(集まる)」という3つのエリアにゾーニング(区分け)するレイアウトを採用し、一人用のブースから大人数のテーブルまでさまざまな種類の座席を設置。その時の業務内容に応じて座席を移動するフリーアドレス制としています。これにより、一人ひとりがより効率的かつ創造的に働くこと、コミュニケーションの質と量を向上することに加え、業務と休憩のメリハリをつけることを目指しています。
ゾーニングの例(NOK神奈川支店)

ワークプレイス改革を中心となって進めるのは、NOKグループの将来を担う若手社員です。まずは現状の課題感や理想のオフィス像を浮き彫りにするため、従業員へのアンケート調査、支店長や執行役員へのインタビューを実施。他社のオフィスの視察、外部コンサルや施工業者との協業を通してコンセプトやデザインを考案し、計画を役員にプレゼンします。竣工後も、ワークプレイスの適切な運用をサポートしていきます。これら一連のプロセスは、ビジネススキルを磨く機会にもなっています。
Case.1
2つの支店の従業員が「ワクワク」活躍する空間へ
ワークプレイス改革の第1号はNOK神奈川支店(神奈川県海老名市)です。当時、神奈川県内にあった2つの支店を1カ所に集約移転する際、新しいワークプレイスの考え方を取り入れることとしました。プロジェクトメンバーは両支店から3名ずつ、立候補や推薦によって決定し、多様な視点を取り入れるために育児中の短時間勤務者も加わりました。
2つの支店は業務内容が異なるため、当初は「支店ごとにエリアを分けるべき」という意見も上がりました。また、無意識のうちに特定の席にとどまるなど、従来の働き方に戻ってしまうことも懸念されました。
そこで盛り込んだのが「ワクワクする」という新たな価値観です。支店間の垣根なくコミュニケーションをとり、得られた知識や経験を活かして、成果を出す。それによって達成感が得られ、自信が湧いて、ワクワクしながら働ける。この状態を理想とし、新しいワークプレイスのコンセプトを「自信を持って楽しく働く 湧くワクワーク」と定めました。
入り口そばの壁面は「コミュニケーションウォール」とし、全員のプロフィールカードを設置。両支店の従業員の会話のきっかけをつくりました。
移転後は、理想の働き方を定着させるためのチームを支店横断で発足しました。支店全体をマネジメントする「コミュニティ」、設備の運用を担う「ファシリティ」、食事会などを企画してコミュニケーションを促進する「コネクション」の3チームです。定期的なアンケートを通じて、従業員の声を取り込みながら改善を続けています。人財交流やナレッジの共有も進み、両支店間のコラボレーションが活性化。今後も継続的な改善を図ります。
Case.2
歴史ある支店をアップデートし、誇りを醸成
開設から20年以上が経ったNOK安城支店(愛知県安城市)では、オンライン会議の増加による会議室不足と、リモートワークが浸透したことによるコミュニケーションの希薄化が課題となっていました。入念なリサーチや現状分析により「メリハリのある働き方・働き場」「横串のコミュニケーション」「プライドエンゲージメント」の3つを重点ポイントとし、コンセプトは「余裕とメリハリから生まれる、誇りを持った支店」と決定。ワークプレイスガイドラインに則った3つのエリアに加え、支店独自の「Challenge(挑戦する)」エリアを設けました。NOKグループの歴史や製品について展示し、自社へのさらなる興味関心や誇りを醸成するとともに、来客への情報発信の場としています。
画面を拡大してご覧下さい。

オープンで会話が生まれやすいレイアウトにしたことに加え、2人で利用すると無料になる「おごり自販機」を導入して、コミュニケーションと息抜きのきっかけをつくりました。フリーアドレスを円滑に運用するため、打ち合わせ等で離席する際は荷物を一緒に移動させることをルールとしています。
リニューアルの4カ月後に実施したアンケートでは、多くの面でポジティブな変化が見られつつあります。仕事へのモチベーション、業務の生産性共に向上している他、コミュニケーション量も増え、業務と休憩のメリハリがついたことを多くの社員が実感しています。「今の安城支店を他拠点の社員や社外の方に話したい・紹介したい」という回答は84%に上り、高いエンゲージメント効果があったことを示しています。
NOKグループでは、順次全国の拠点のワークプレイス改革を推進し、すべての従業員が最大限に力を発揮できる環境の整備を図っていきます。